岩井の胡麻油

安政4年創業「岩井の胡麻油」さん
こだわりの製法で昔ながらの胡麻油を作っています♪

岩井の胡麻油株式会社

創業:1857年(安政4年)
所在地:横浜市 神奈川区
従業員数:30数名
おしごと内容:胡麻油や関連商品の製造・販売
商品例:純正胡麻油、調合胡麻油、ごま辣油など
環境

大田区から車で30分少々、東京湾に面した横浜市神奈川区に本社兼工場があります。大きくてレトロな建物が立ち並ぶ倉庫街ですが、高層マンションやヨットハーバーも隣接しており、新旧が共存するエリアです。

こだわり 創業当時から変わらない昔ながらの「圧搾製法」で作る岩井の胡麻油。時間をかけ、職人の感覚を駆使して丁寧に作った胡麻油は風味・香味が最大限に活きた商品です。

視察レポート

2022年秋、とある展示会で岩井の胡麻油さんとは出会いました。東京のすぐそば横浜市で胡麻油が製造されていること、昔ながらのこだわり製法で作られていること、そして何より香り高くとってもおいしい胡麻油であることに興味と魅力を感じ、2023年4月から商品の取扱いをスタートしています。聞けば聞くほど興味深い『胡麻』と『胡麻油』のことをより深く知るため、岩井の胡麻油さんの工場におじゃまして、原料や製造工程を視察してきました★
 

~まずは原料と製法のお勉強~

<胡麻の種類と産地について>

胡麻には白胡麻・茶胡麻・黒胡麻・金胡麻の4種類があり、通常の胡麻油は茶胡麻と白胡麻をブレンドして作ります。これらは食用の胡麻と同じ品種で、等級などの規格設定により加工用と食用に分けられています。胡麻は日本国内ではほとんど生産されていないため、原料は全て輸入品。赤道付近の国を中心に、ナイジェリア・スーダンなど5~10か国程度の国が岩井の胡麻油の主な原料の産地です。産地や時期などによって胡麻の状態(水分量など)が異なるため、熟練の職人さんがその日の原料を見て焙煎の温度や時間を調整しています。
胡麻は実の生り方の特徴から機械での収穫が困難な植物だそうです。そのため生産にはとても多くの人出が必要であり、栽培は出来ても収穫の手間や人員を確保すること・それに見合った利益を得ることが大変難しく、これが大きな理由となり日本国内での生産はほとんどされていないそうです。
4種類の胡麻たち。通常の胡麻油になるのは白胡麻と茶胡麻。黒胡麻で作る高級胡麻油もあります。
胡麻の枝(乾燥したもの)。胡麻は種実なので、花が咲いたあと小さな房の中にたくさん出来ます。

<胡麻300gで出来る胡麻油の量は?>

岩井の胡麻油では1日で5トン程度の胡麻油を製造しています。胡麻は52~53%程度が油脂で出来ており、一般的に行われている“抽出法”(溶剤を用いた製造方法)ではこのほとんどを搾油することができますが、岩井の胡麻油で行っている“圧搾法”では全量搾ることが難しいため胡麻からの搾油量は45~46%程度になります。つまり、300gの胡麻から出来る胡麻油は140g程度。ちなみに、胡麻300gは粒の数でいうと11万粒程度になるそうです。
1gの胡麻の量。計算上ここにある胡麻は360~370粒。

<胡麻油の製造工程>

岩井の胡麻油の商品は昔ながらの“圧搾法”で製造されています。工程は以下のような流れで行われており、言葉で表記すると簡単ですが、そこには熟練の職人さんによる見極めと調整、時間をかけた丁寧な仕事が存在しています。
 

~まずは原料の搬入・出荷場所へ~

原料と製法についてたくさんの事を教えていただいたあと、実際の工場を見学させていただきました。まずは原料の胡麻が搬入・選別される建屋と商品が出荷待ちをする場所の見学です。

<原料の搬入・選別場所>

50㎏の袋に入って入荷した胡麻は、床面にある穴に流し込み選別機に送ります。

 

選別機にかけて篩い[ふるい]選別を行い、交雑物(胡麻以外の不要物)を取り除きます。

 

取り除かれた交雑物。砂や土、石、もみがら等が出てきます。

<出荷待機場所>

積み上げられた出荷前の商品。整然と高く積み上がった箱は圧巻です。

 

こちらは胡麻油を圧搾した時に出た搾りかすを細かくしたもの。鶏など家畜の飼料として活用されます。これを食べた鶏の卵はとっても美味しいらしい。
 
 

~製造工場の中は・・・~

続いては製造工場の見学です。どの工程もほとんど全てが機械化されていて、重要な見極め以外は人の手が触れずに製造されていました。企業秘密保持のため機械の内部を公開することが出来ないのが残念ですが、実際には各工程の機械を細かく見学させていただきました。
★ご要望をいただければ個別に画像等の資料をお見せすることは可能です。ご興味をお持ちいただきましたらぜひ一度お問い合わせください★

<焙煎工程>

焙煎は胡麻油にとって風味と個性を決める最も重要な工程です。基準の温度・時間はありますが、胡麻の産地や収穫時期などによって水分量や状態が異なるため、毎朝熟練の職人さんが胡麻の状態やその日の天候に合わせ、五感を駆使して焙煎度合いの調整をしています。
長い筒が回転し、胡麻を攪拌しながら焙煎する機械。700℃程度の熱風で焙煎します。筒は少し斜めになっていて、入口から出口に向かって胡麻が加熱されながら進んでいきます。
焙煎された胡麻は褐色になり香ばしい香りがします。指で潰すとプチプチと弾けるような音がしました。これが適度に焙煎された印です。

<搾油工程>

圧搾機で圧力をかけて胡麻をすり潰しながら油を搾ります。搾油は2段階で行われ、最初に搾ったものは“一番搾り”と呼ばれます。黒光商事で取り扱っている『純正胡麻油濃口』はこの“一番搾り”だけを使用した商品です。調合胡麻油は“一番搾り”と“二番搾り”両方を使用し、大豆油をブレンドしています。一般的には有機溶媒を用いて油を抽出することが多いのですが、岩井の胡麻油では風味と香りをしっかり守って引き出すことの出来る昔ながらの『圧搾製法』にこだわっており、160年前と変わらぬ搾油法で商品を製造しています。
搾油の機械“エキスペラー”。2台並んで一番搾りと二番搾りの油を搾っています。

搾油後の搾りかす。ぎゅっと圧縮されて板状になっています。これもゴミにはせず、細かく粉砕して家畜の飼料用として出荷してます。

<ろ過工程>

機械には綿布がセッティングしてあり、これに油を染み込ませ、圧力をかけてろ過します。最初のろ過は“粗ろ過”と呼ばれ、搾ったばかりの胡麻油から搾りかすなどをろ過します。そのあとタンクで2週間寝かせ、不純物を沈殿させたあともう一度同じ機械でろ過します。さらにカートリッジフィルターを通して仕上げろ過を行い、3回のろ過を経て胡麻油が完成します。
一般には効率の良い遠心分離機を使用したろ過が主流ですが、岩井の胡麻油では時間と手間をかけることで風味・香りを守り琥珀色に輝く胡麻油に仕上げています。
 
 

~眠らせておいしくする静置タンク~

最後は工場の外にある静置タンクの見学です。岩井の胡麻油のおいしさのヒミツは時間をかけた静置にもあります。大きなタンクがいくつも並び、中では最初のろ過を終えた胡麻油が2週間ゆっくりと眠っています。眠ることで沈殿物を落ち着かせて風味と香味を守り、ここでしっかり眠った胡麻油は琥珀色に輝き風味豊かな岩井の胡麻油になります。

 

 
 

~まとめ~

今回視察におじゃまして初めて“植物としての胡麻”を目にしました。そして普段何気なく使用している胡麻油の原料がどこからやってくるのか、なぜ国内では栽培されていないのか、胡麻油を作るにはどれくらいの胡麻が必要か…など様々なことを学びました。胡麻油の製造工程や機械の内部も細かく見せていただき、勉強になることがとてもたくさんありました。岩井の胡麻油さんでは近隣の小学校の工場見学も受け入れているそうです。「岩井の胡麻油」を給食に導入いただくことはもちろん、今回私たちが見たこと・聞いたことを栄養士様や子供たちにもぜひ知ってもらいたいと感じた視察でした。
 

★プチ情報★

岩井の胡麻油の歴史はとても古く、安政5年(1857年)の江戸時代の頃に千葉県で創業したのがはじまりです。その後、船便で輸入される原料の入荷に都合の良い、港がある横浜に工場を移転し今に至ります。現在の輸出入は少し離れた港で行っていますが、昔は工場の裏に面した東京湾から原料の胡麻を入荷していたそうです。
※写真は大正時代~昭和40年代に使われていた搾油機

 

工場内に駐車してあったフォークリフト。「岩井の胡麻油」の渋い文字とオレンジの車体が目を惹くかわいい子でした。

 

実は…焙煎前の胡麻を土に蒔くと比較的簡単に胡麻が栽培できるとのこと。さっそく黒光商事でも栽培実験をスタートしました!栽培レポートにも乞うご期待♪

★栽培用の胡麻の種ご用意できます★

ご希望の学校様はお気軽にご連絡ください♪

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